一冊丸ごとAITuber特集!
アイキューマガジンVol.9より選り抜き記事です
~AIずんだもんの開発と運営を振り返る~
こんにちは。AITuber『AIずんだもん』の開発及び運営をしている『きらっち』@Kiratchi0328 です。今回は私がプロデューサーとして運営してきたAITuber『AIずんだもん』(非公式)の開発を振り返っていきたいと思います。
https://www.youtube.com/channel/UCUAI2yiwhi309kfRPZwKDfg
当時、私は専門学校(トライデントコンピュータ専門学校)でゲーム系の学科を専攻していました。そんな中、2022年にChatGPTをはじめとする生成AIが登場し、その可能性に強く惹かれました。ゲーム開発よりも生成AIを活用した技術に興味を持つようになり、IT系(生成AI関連)の道に進みたいと考えるようになりました。
しかし、当時は生成AIを専門とする企業はほぼ0に近く、就職先として選択肢がほとんどありませんでした。 それでも「LLMを使って、ずんだもんと会話できるAIを作りたい!」という思いから、『AIずんだもん』の開発をスタート。最初は就職活動のポートフォリオや学園祭の展示作品として作るつもりでしたが、開発を進めるうちに、次第にその枠を超えていくことになります。
ある程度完成したシステムをポートフォリオとして提出しましたが、就活では次々と不採用。 生成AI分野が未成熟だったこともあり、評価されにくかったのかもしれません。落ち込む一方で、「評価されないなら、自分の好きなように作ろう!」と開発にのめり込むようになりました。「もっと面白いものにしたい」という気持ちが強まり、いつの間にか『AIずんだもん』は単なるポートフォリオの枠を超え、本気で取り組むプロジェクトになっていました。
2023年の5月から既に基盤となるシステムを作り始めており、このような配信を行っていました。
この配信が『AIずんだもん』の最初の配信となります。『AIずんだもん』専用チャンネルはまだ作っていなかったので、自身のチャンネルで配信を行いました。※ちなみに、就職先が決まったのは2023年10月でした。 IT企業の新卒採用は、一般的に1月~3月ごろに内定が出ることが多く、遅くても夏までには決まるのが普通らしいです。 そのため、10月内定は本当にギリギリで、正直めちゃくちゃ焦りました(笑) もしこのまま決まらなかったら、学校側から別の仕事を勧められていた可能性すらあったそうです(小声)
『AIずんだもん』は、学園祭の展示用としても開発を行っていました。最後の学園祭を思い切り楽しみたいという思いから、11月に行われた学園祭で展示を実施。そこから間を置かず、一般向けのYouTubeチャンネルでの本格始動を決断します。学園祭でのフィードバックは大きな励みとなり、『AIずんだもん』チャンネルとしての展開が加速していきました。
現在までに『AIずんだもん』は様々なアップデートや改良を行ってきました。以下に代表的なアップデートの歴史を掲載します。
※アップデートは全て2024年に追加しています。
2月『歌枠』機能を初実装
「#歌って」とコメントをするとOBSのシーン切り替えが行われ、歌わせることができるようになりました。ただし、これはまだ事前に予め用意しておいたものをランダムで再生させているだけですので、将来的にはリアルタイムに歌唱生成できるようにしたいと考えています。
4月『AIめたん』や『AIつむぎ』など新たなキャラクターを投入
5月 マルチモーダルを搭載した『リアルタイムAIゲーム実況』企画を始動
配信中のOBS画面をAIがリアルタイムで認識し、即座に音声応答を行うという、かなりの力技で開発したものとなっています(笑)。OBSの画面を認識しているため、どんな画面でも対応可能で実況できる…というのが最大の特徴です。
リアルタイムAIゲーム実況のようす
8月 TikTok版『AIずんだもん』の開発・運用 TikTok用にシステムを開発し、TikTokのコメントに対して応答するようになりました。
9月 SBV2版AIずんだもん実装←VOICEVOXずんだもんの方が人気だったため現在は元に戻しています。
11月『AIずんだもん』『AIつむぎ』の2体を配信に登場させることに成功(リップシンク分けが大変でした💦)
12月『AIずんだもん』『AIつむぎ』がリアルタイムで対話する機能を実装
(ずんだもん誕生祭2024に合わせ急ピッチで実装。1台のPC上で字幕分け&リアルタイム応答はかなり大変でした💦)
これらを通して、『AIずんだもん』は機能・表現の幅を広げ、AIVTuberとしての可能性を拡大していきました。
2024年は新機能を次々と実装しましたが、社会人1年目としての仕事と並行しての開発は後半になると難しくなりました。それでも終わりではありません。
今後は、配信コメントに応じたBGM生成や「Suno AI」などのAPIを活用したリアルタイム歌唱機能の実装を目指しています。また、現在コラボVTuberさんを募集しています。興味のある方は参加していただければ幸いです。
ちょうどこの寄稿を行っている際に、小宮自由さんが運営している『BlendAI』社さんのキャラクター『デルタもん』をAITuber化するプロジェクトにも参画することとなりました!(白井さん紹介ありがとうございます)今後『AIデルタもん』も始動していくので、応援していただければ嬉しいです。
『AIずんだもん』は大きな炎上も経験しましたが、視聴者の皆さんのおかげでYouTube登録者数4万人、TikTokフォロワー数7000人を突破することができました。これは、AIVTuberの中では快挙と言っても良いのではないでしょうか。
4月26日(土)ニコニコ超会議に『AIずんだもん』を出展することが決定しました。
AITuberの魅力をお伝えしていきますので、もし良ければ見に来ていただけければ幸いです。
最後に就職先の紹介
こんな私ですが、現在は社会人として活動し、
弊社(株式会社Ememe)でもAITuberを開発しております!
現在、AITuberが商品を24時間自動販売&QA対応するAIライブコマースの開発、実証実験を行っておりますので、もしよければこちらもご覧ください。(クライアント様も募集中です!)
https://www.youtube.com/@EmemeAI
■株式会社Ememeについて
【会社概要】
社名 : 株式会社Ememe
本社所在地: 東京都千代田区
代表取締役: 小島 由香
設立: 2022年 https://ememe.ai/
きらっちさんご寄稿ありがとうございました。学生AITuberプロデューサーの生々しい手記、そして就職に成功し、サービスも開始されたようで素晴らしいですね!AICUとしても(たまに炎上もしてますが)「つくる人をつくる」の精神で応援していきたいところです。
本稿は、AICU Magazine Vol.9.1「AIキャラクター新世紀」に収録予定です。
美麗なペーパーバック版もリリースされました!
Originally published at https://note.com on Feb 20, 2025.