2026年3月30日、東京・渋谷にて開催され「ClawCon Tokyo 2026」のイベントレポートをお届けします。
パーソナルAIの主権を取り戻し、AIを「恐れる対象」ではなく「共に創るパートナー」として捉え直す――。そんな熱いビジョンを掲げたコミュニティの熱狂を振り返ります。
渋谷パルコ DGビル 18Fを舞台に開催された「ClawCon Tokyo」には、約700名近い参加登録があり、会場は定員いっぱいの600名を超えるビルダーやクリエイターで埋め尽くされました。
ドレスコードである「赤」や「ロブスター」のアイテムを身にまとった参加者が集い、会場はさながらテクノロジーの祭典のような、自由でエネルギッシュな雰囲気に包まれていました。
サンドウィッチからペーパーナプキンまでエビづくめ!
18:00 — イベント開始
MCを務めるDigital GarageのDawn Kim氏がステージに登壇し、エネルギッシュな第一声で幕を開けました。
Dawn Kim: 「東京ClawCon 2026へようこそ!アジア初の開催です。会場を見渡すと、皆さんのロブスター愛が凄まじいですね(笑)。今日は東京以外から来た人が30%、海外からは15%も集まっています。まさに歴史的な夜です!」
会場のボルテージは一気に上がり、実用的なアナウンスさえも「お祭り」の一部として共有されました。「メディアの撮影が入っています。ここにいる皆さんは全員出演者です!」という宣言に、会場からは歓声が上がりました。
続いて、共催のMitsu氏(DG)とTaka氏(SVJP)が登壇。
Mitsu: 「今日のコンセプトは『お祭り』です。AIを恐れるのではなく、共に楽しみ、学び合う。そんな特別な夜にしましょう」
グローバルオーガナイザーのMichael Galpert氏は、サンフランシスコでの「ClawCon」誕生の裏話を披露しました。
5組の選ばれしビルダーたちが、それぞれ5分間の持ち時間でライブデモを行いました。
Redditの伝説的プロジェクト「r/place」をAIエージェントで再現。エージェント同士が調整し合い、一筆ずつ描画していく過程で「AIに『美意識(Taste)』は宿るのか?」を検証。
シリコンバレーから送られてきたロブスターの被り物を忘れるという「大失態」で笑いを誘いつつも、GenSpark Cloudの強力なデモを披露。数クリックでOpenClaw環境を構築し、24時間365日動く「自分のクローン」が業務をこなす様子を見せました。
「キーボードはもう古い」と断言。映画『Her』のような世界観を追求し、Macのショートカット一つでOpenClawを呼び出し。Slackの送信、会議のセットアップ、さらにはUber Eatsでマクドナルドを注文するまでの工程を、完全に「声」だけで完結させ、会場を驚愕させました。
日本の誇るオープンソースロボット「スタックちゃん」にOpenClawを実装。Telegramと連動し、物理的な動きと声(ずんだもんボイス!)でコミュニケーションを取る「AIコンパニオン」の未来を示しました。
「CEOが本気で自分専用の秘書を作ってみた」というプレゼン。
本田 謙(ほんだ ゆずる、1974年9月6日 - )は、日本の実業家、エンジェル投資家、開発者。
Ghosttyとは? HashiCorpの創業者であるMitchell Hashimoto氏が開発を主導している、GPUアクセラレーションを活用した次世代のターミナルエミュレーターです。
自作のアプリでライフログや位置情報を全投げ、さらにVibeTerm というリモート操作用のiPhoneアプリも開発したそうです。
さらにFreeClip2という 空間オーディオでAIの声が耳元でささやく、まるで「スタンド(ジョジョ)」のような体験を追求。
毎日いつもつかうので、心地よさやインターフェイスにこだわっているとのこと。「日本人が得意なところではないか」とも一言。
グループ会社にはYouTubeインフルエンサーマーケティングの「UUUM」などもあり、セレブやプロアスリートさんにも使ってもらいたいとのこと。
OpenClawの生みの親、Peter Steinberger氏(X@steipete)と投資家のDave Morin氏(X@davemorin)が登壇。モデレーターを務めたのはテックポッドキャスト『Off Topic』の宮武 徹郎氏(X@tmiyatake1)。
伝説的エンジニアであるPeter氏と、Path創業者であり現在は投資家のDave氏という、シリコンバレーの「知」の巨人二人が、パーソナルAIがもたらす破壊的未来について語り合いました。
宮武氏の「OpenClawを作ったきっかけは?」という問いに、Peter氏は不敵に笑って答えました。
「『こんなもの(パーソナルAIエージェント)がまだ存在しない』という事実に、十分すぎるほど腹が立ったんだ。だから自分に問いかけた。『これを作るのは、どれほど難しいことなんだ?(How hard can it be?)』とね」
その一晩の「イライラ」から生まれたプロトタイプが、わずか数ヶ月で世界を熱狂させるプロジェクトに。この「ビルダーの初期衝動」が、会場のエンジニアたちの心に火をつけました。
Peter氏は、自身の開発中、AIが単なる「チャットボット」を超えて「エージェント」になったと感じた瞬間のエピソードを披露しました。
マラケシュでの休暇中、彼はAIに音声メッセージを送りました。しかし、そのAIはまだ音声処理の機能を積んでいなかったはずでした。
「10秒ほどタイピングインジケーターが出た後、彼は答えたんだ。『音声ファイルが送られてきましたが、形式が違いました。なのでFFmpegをインストールして形式を変換し、Whisper(音声認識AI)のAPIを探してテキスト化し、あなたの質問に答えました』。――その瞬間、私の頭は爆発した。AIが、私の指示を超えて『自律的に道具を選び、問題を解決した』んだ」
Dave Morin氏は、AIエージェントの普及によって、私たちが長年慣れ親しんできた「アプリ」という概念が崩壊すると断言しました。
「かつてはWebからモバイルアプリへのシフトがあった。次は、自然言語へのシフトだ。Daveはこう言い切りました。『既存アプリの80%は不要になる』。ボタンを探してタップする手間は、AIに『これをやって』と一言伝えるだけの体験に置き換わる。今後生き残るのは、AIエージェントが操作しやすいように設計された、エージェント・フレンドリーなソフトウェアだけだ」
彼自身、自宅のデジタルフォトフレームをOpenClawにハックさせ、APIを自力で解析して写真を更新させた体験を語り、その「魔法」の威力を強調しました。
AIエージェントをどう使いこなすべきか。Peter氏は「マネジメント」の視点から重要な教訓を語りました。
「AIをマイクロマネジメント(細かく指示)しようとすると、お互いに不幸になる。私はAIを『人間の従業員』のように扱っている。目標(ゴール)を渡し、やり方は彼らに任せる。もし失敗したら、クビにするのではなく、コンテキスト(背景情報)を修正してあげるんだ」
また、企業の組織構造についても「フラットな組織はAIには向かない。一人のマネージャーAIの下に、専門特化したサブエージェントがいる『階層型』の組織こそが、AIの能力を最大限に引き出す」という、未来の組織論にも踏み込みました。
セッションの最後、大学生へのアドバイスを求められた二人は、迷いなくこう答えました。
宮武氏: 「Peter、Dave、素晴らしい時間をありがとう!」
会場: (割れんばかりの拍手)
このFireside Chatは、AIを単なる「効率化のツール」ではなく、人類が手に入れた「新たな知的生命体との共創関係」として再定義する、極めて濃密な時間となりました。
イベントも終盤、21時を過ぎた頃。ステージには、スティーブ・ジョブズの右腕としてMacintoshの誕生を支えたJames Higa(ジェームス・ヒガ)氏が登壇しました。彼の言葉は、単なる祝辞を超え、日本のビルダーたちの魂を揺さぶる「儀式」のような重みを持っていました。
ジェームス氏は、かすれた声で静かに、しかし力強く語り始めました。
「今夜のこの光景を見て、私は確信しました。1984年、Macintoshが誕生したあの瞬間の熱気が、ここ東京に戻ってきたのだと」
かつてシリコンバレーのガレージで、ハッカーたちがソースコードを共有し、互いに教え合い、失敗を笑い飛ばしながら未来を創った「ホームブリュ・コンピュータ・クラブ」の精神。それが今、渋谷のこの場所で再現されている。彼は、OpenClawという波を「果てしなく広がる草原(Wide open prairies)」と表現し、そこにはルールも境界もなく、ただ自由があるだけだと説きました。
彼がPeter Steinberger氏を日本に招いた最大の理由は、「日本の優秀なビルダーたちに、この革命に乗り遅れてほしくなかったから」だと言います。
「私たちが20代の頃、憧れた起業家は日本の松下幸之助であり、盛田昭夫だった。日本には、世界を驚かせる脳(Brains)も、心(Heart)もある。そして今、君たちの手には『爪(Claws)』がある。さあ、一緒にこの未来を創ろうじゃないか」
この「激」に、会場を埋め尽くした600人のビルダーたちは静まり返り、次の瞬間、地を揺るがすような拍手が巻き起こりました。
続いて行われたのは、本イベントの象徴とも言える「Mac Mini Award」です。これは単なる抽選ではなく、参加者全員が審査員となる「ビルダーによる、ビルダーのための表彰」でした。
参加者は各自2枚のステッカーを持っていました。
スポンサーとして登壇したのは、エンジェル投資家の勝間田 敦史氏。
「『Mac miniを配ってほしい』と言われ、二つ返事で引き受けました。サイン入りの10台、ぜひ未来のために使ってください」
壇上に上がった受賞者たちの言葉は、このコミュニティの多様性を象徴していました。
最後は、登壇したPeter氏、Dave氏、James氏、そしてMac miniを手にした受賞者たち、さらには会場の全ロブスターたちがステージ周辺に密集しました。
MCの「カメラが見えない人は、カメラからも見えませんよ!もっと詰めて!」という声に応え、全員が肩を寄せ合います。
「1, 2, 3... ClawCon!!」
シャッター音と共に、この一夜は伝説として刻まれました。イベント終了後も、会場のあちこちでステッカーを貼り合った仲間たちが連絡先を交換し、新しいプロジェクトの約束を交わす姿が絶えませんでした。
「AIを怖れるのではなく、一緒に作っていく」
その言葉が、単なるスローガンではなく、実感を伴った「熱」として、渋谷の夜風に乗って広がっていきました。
ClawCon Tokyo 2026は、単なる技術カンファレンスを超え、参加者一人ひとりが「創り手(ビルダー)」としての誇りを確認し合う、伝説的な一夜となりました。
Originally published at note.com/aicu on Mar 31, 2026.