もっと高画質の画像を生成したいと思いませんか?
実は、ComfyUIのワークフローを工夫することで、高画質の画像生成が可能になります!
こんにちわ、AICU media編集部です。
「ComfyUI マスターガイド」第10回目になります。
今回は、生成した画像をさらに高解像度化できる「Hires.fix」の概要から実践的な使用方法を詳細に解説していきます。
前回はこちら
Hires.fix (High-Resolution Fix、ハイレゾフィックス) は、生成された画像を元に、より高い解像度の画像を生成する技術です。具体的には、低解像度画像に含まれる情報を元に、AIが欠落している高周波成分(細部情報)を予測・補完することで、高解像度化を実現しています。これは、単なる拡大とは異なり、画像の内容を理解した上でのアップスケール(高解像度化)と言えるでしょう。
通常の画像生成では、最初から目標とする解像度の画像を生成しようとします。最初から高解像度で画像生成すると、学習した低解像度の特徴を高解像度に拡大する際、適切に補間できない場合があり、アーティファクト(*1)が含まれた画像を生成する確率が高くなります。
*1 アーティファクトとは、元の対象物には存在しない、画像処理や撮影過程で人工的に生じた視覚的な異常や歪みのことです。例えば、身体の一部が欠けていたり、不自然な形状になっている状態のことです。
一方、Hires.fixは、まず比較的低い解像度の画像を生成し、それを後からアップスケールするというアプローチを取ります。これにより、高解像度画像を直接生成するよりもアーティファクトの発生を抑制でき、高解像度な画像生成を実現できます。
以下が今回使用するワークフローの全体像です。以下の画像には、ワークフローの情報も含まれているため、以下の画像をダウンロードし、ComfyUIにドラッグ&ドロップすれば、このワークフローを読み込むことができます。
※noteの仕様で画像をアップロードするとwebp形式に変換されてしまうので完成品のhiresfix.jsonとPNGはzip形式でお届けします。
https://note.com/api/v2/attachments/download/1c54b7b03c22322760dc368afa1a439c
ワークフローは、大きく分けて、標準ワークフローとHires.fixで構成されます。
標準ワークフローについては、次の記事で詳細を解説していますので、こちらをご確認ください。
Hires.fix部は、以下の流れで処理されます。
以下に各ノードの解説をします。
Upscale Latentは、標準ワークフローで生成されたLatentを入力として受け取り、そのLatentを指定のアップスケール手法(upscale_method)および倍率(scale_by)で解像度を上げます。アップスケール手法は、以下の中から選択できます。各アップスケール手法の概要と共に紹介します。
今回は、アップスケール手法にnearest-exact、倍率に1.5倍を指定します。
「Upscale Latent By」でアップスケールしたLatentを入力「latent_image」で受け取り、そのLatentを元にノイズ除去強度(denoise)(*2)を低い値でサンプリングを試みます。他の入力「model」「positive」「negative」は、標準ワークフローと同じ接続となります。また、他のウィジェット「control_after_generate」「steps」「cfg」「sampler_name」「scheduler」も標準ワークフローと同じ値となります(「seed」はランダム値です)。
*2 denoiseは、ノイズ除去の強度を調整するパラメータです。値を大きくするほどノイズは除去されますが、画像の詳細が失われる可能性もあります。最適な値は一概には言えないため、試行錯誤しながら見つけることが重要です。
アップスケールとノイズ除去したLatentを画像に変換します。入力「samples」には、KSamplerでノイズ除去したLatentを接続し、入力「vae」には、標準ワークフローでも使用しているノード「Load Checkpoint」の出力「VAE」を接続します。
VAE Decodeで変換された画像を受け取り、画像として保存します。標準ワークフローで生成した画像と切り分けるため、filename_prefixには「ComfyUI_Upscaled」と設定しました。
それでは、ワークフローを実行してみましょう。メニューの「Queue Prompt」をクリックしてください。
しばらくすると、生成が完了します。
以下が生成結果です。左が標準ワークフローの生成結果(オリジナル)、右がHires.fixの生成結果です。解像度は、左が512×512、右が1.5倍の768×768になります。Hires.fix後の生成結果は、解像度が向上していますが、オリジナルと比較すると、所々で異なる点があります(例えば、ボトルの形状が若干異なる)。Hires.fixは、KSamplerで再度サンプリングしているため、denoiseを抑えているとはいえ、多少画像に変化が表れてしまいます。
以下の画像は、denoiseの値ごとの生成結果の変化をまとめた画像です。denoiseの値が大きくなるほど、オリジナルからの変化が大きくなることが確認できます。denoiseの値は、生成結果を確認しながら調整することが求められます。
Hires.fixは非常に便利ですが、一方で標準ワークフローと比べ、使い方が難しい面があります。以下の事項に注意してHires.fixを活用しましょう。
Hires.fixは、ComfyUIで高品質な画像を生成するための強力なツールです。この記事で紹介したテクニックを活用することで、より効果的にHires.fixを使いこなせるようになるでしょう。ぜひ、様々な設定を試して、あなただけの最高の画像を生成してみてください。
次回は、ポジティブプロンプトのノウハウを紹介します。乞うご期待!
https://note.com/aicu/n/n93bac52cfcf5
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Originally published at https://note.com on Aug 28, 2024.