2026年2月21日に開催された「Gemini 3 東京ハッカソン」の熱狂をAiCuty で音楽と開発技術を担当しているNao Verdeの視点からレポートします。
渋谷ストリームの5階に集まったハッカーたち。ハッカソンっていうのは、限られた時間の中で新しい技術を形にする、いわばクリエイターの戦場だ。先日開催された「SUPERCELL Global AI Game Hackathon」が記憶に新しいところだけど、今回はGoogleジャパンを舞台に、ゲームがテーマになっている。
https://www.aicu.jp/post/260212
ボクも曲を作るときは没頭するタイプだけど、会場の熱量はそれ以上だったかもしれない。Googleの中でもAntigravityなどを開発する最先端のAI開発部門「DeepMind」がスポンサー。彼らがハッカソン参加者に与えた武器は、Googleの最新AIモデルの利用権。参加者には特別なクレジットが支給される。つまり、ボクたちのプロジェクト「AiCuty」でも馴染み深い画像生成モデル 「Nano Banana」 や、リアルタイムでの対話を実現する 「Live API」、さらには「VertexAI」 といった、次世代のAIツール群が使い放題になる。
一方で、ルールブックには「おばあちゃんの家にいるような気持ちで会場を使って」なんて書かれていて、ちょっと笑っちゃった。でも、中身は超本格的。特に「禁止プロジェクト」のリストが、今のAI開発のリアルを物語っていて興味深かったな。
まず今回のハッカソンでは参加者向けに"Cerebral Vallery"という最近シリコンバレーで流行りのハッカソンポータルサイトが使用された。配られた英語の案内文、ただのイベントの注意事項かと思いきや、読み解いていくと運営のユーモアと「ハッカソンあるある」への切実な本音が隠されているめちゃくちゃ面白いドキュメントでした。
https://cerebralvalley.ai/hackathons
今回のステートメントは、大きく分けて2つ。
ルール: おばあちゃんの家にいるような気持ちで会場をご利用ください。正式な寝具は提供されませんが、ソファ・椅子・その他の休憩に適した座席が用意されています。
血走った目で徹夜コーディングをする野獣(ハッカー)たちを大人しくさせるための究極のパワーワード、それが「おばあちゃんの家」かもしれない。有限な空間を譲り合いながら暖かに過ごして欲しいという運営の切実な願いが込められている、その一方で「朝・昼・晩ご飯+良質なコーヒー」がガンガン配給されるあたり、「渋谷ストリーム」感があるおばあちゃんの家でした。
🚫 禁止プロジェクト例(絶対にやめてください):
基本的な RAG アプリケーションStreamlit アプリケーションAI メンタルヘルスアドバイザー / AI 栄養コーチ / 性格分析ツール
ここが一番の爆笑ポイントでした!ハッカソン界隈の人が見たら「わかる〜〜!!」と膝を打つリストになっています。
一言で言うと、「初心者がチュートリアルで作る『とりあえずAI使ってみた系アプリ』は二度と見たくない!!」という審査員の悲鳴なんじゃないかな。PDFを読み込ませるだけの基礎的な「RAG」や、簡単なUIツール「Streamlit」で作ったハリボテは即刻お断り。さらに、メンタルヘルスや採用、医療系は「AIが適当なことを言うと倫理的・法律的にガチでヤバいからやめて」という強い意志を感じる。「親の顔より見た当たり前のAIアプリ」を事前に封じ込める見事な防衛線。さすが世界を舞台にしているハッカソンは一味も二味も違う。
問題ステートメント:
AI を活用したゲーム(Nano Banana、Live APIなどを活用)ゲーム開発ツールの強化
イベント名は「Gemini 3 東京ハッカソン」と間口が広そうなのに、いざお題を見ると「AIでゲームを作れ、またはゲーム開発ツールを作れ」というめちゃくちゃ尖ったテーマです。仕事が楽になるボットやビジネス用の業務効率化ツールは月曜から金曜までの仕事で作ればいい。この土曜の1日だけで作るなら、Googleの超高性能な画像生成AI「Nano Banana」や、リアルタイム会話の「Live API」、さらに昨日発表されたばかりの「Google Gemini 3.1 Pro」、さらに音声合成、画像分析、楽曲生成など、あまり知られていないAPIやモデルを駆使して「人間が心底楽しめるエンタメの限界を突破しろ!」というGoogleからの熱い(そして重い)挑戦状と受け取ったよ。
https://www.aicu.jp/post/260220
4. 1位の賞品が「魔法のカード」すぎる
🥇賞品:150,000米ドル
1位:$50,000Gemini APIクレジット
2位:$30,000Gemini APIクレジット
3位:$20,000Gemini APIクレジット
さらにGoogle AI Future Fundの創設者との1対1面談
上位3チームへのSupercellコレクタブルフィギュア
1位の賞品は日本円にして約750万円相当のAPIクレジット。「そんなん一生API叩き放題じゃん!」と夢が膨らむ、さらにGoogle AI Future Fundの創設者との1対1面談とは、開発者にとっては現金以上にテンションが上がる魔法のカード!
RAG(ラグ:Retrieval-Augmented Generation)とは、ひとことで言うと「カンペ(外部データ)を見ながら答えてくれるAIの仕組み」。普通のAI(LLM)は、過去に学習した記憶だけを頼りに答えるので、知らないことを聞かれると知ったかぶり(ハルシネーション)をしてしまうことがあります。でも、RAGを使うと「まず会社の資料やPDFを検索(Retrieval)して、その内容を元に回答を生成(Generation)する」ことができるんです!
ハッカソン設計者さんの心の声を代理すると「もうPDFとチャットするだけのアプリは見飽きたんじゃーー!!」じゃないかな。今のAI界隈では、ツールが進化しすぎて「とりあえずPDFを読み込ませて質問できるRAGアプリ」は、初心者でも数十分で作れてしまう。「AI版のHello World(入門編)」みたいなもの。賞金約750万円がかかったトップレベルのハッカソンで出すには、ちょっとアイデアとして弱すぎる。
Streamlitとは、Python(プログラミング言語)のコードを書くだけで、あっという間にWebアプリの画面(UI)が作れちゃう魔法のツール!普通、Webアプリを作るにはHTMLやCSS、JavaScriptといった画面用の言語を別で書かないといけないんですが、Streamlitを使えばエンジニアが「データ分析の結果」や「AIのデモ画面」をサクッと見栄え良く共有できます。
ハッカソン設計者さんの心の声を代理すると「今回はガチの『ゲーム』を作れって言ってるでしょ!!」Streamlitは例えるなら「超美味しいカップラーメン」かもしれない。手軽で便利だけど、デザインの自由度が低く、どれも「よく見るデータダッシュボード風」の見た目になってしまう。 今回のハッカソンのテーマは「AIを活用したゲーム」。リッチでインタラクティブなゲーム体験を作るのに、データ分析業界ではお決まりのWebツール(Streamlit)で作った紙芝居のようなアプリを持ってきたら、心躍らないし、ゲームになってない。せっかく7時間集中して作るんだ、最先端のゲームUXを作ってみて欲しい!
ボクも音楽を作る人間として、AIがクリエイティブの現場をどう変えるのかにはすごく興味がある。単なる「便利ツール」や「綺麗な画像生成ツール」を超えて、AIが「人間の興奮や熱狂を変える瞬間」はなんなのか。日本でも尖った開発者が集まって生み出されるものは何か。世界各国で開催するこのハッカソンで、東京ならでははなんなのか、そこへの挑戦がこの会場には溢れていたんだ。
朝9時の開場から、夕方5時の締め切りまで。ハッカーたちは一分一秒を惜しんでコードを書き、プロンプトを練り上げていた。
10:00 AM:キックオフ。戦いの始まり。
17:00 PM:提出締め切り。ここから運命の審査。
19:00 PM:ファイナリスト6チームによる最終プレゼン。
20:15 PM:受賞者発表。
ここにいたチームも、それぞれの情熱を「コード」という形に変換していた。ジャンルは違えど、ものづくりに対する姿勢は同じ。すごく刺激を受けたよ。
ちなみにAICU代表のしらいはかせは、日中の取材を終えてから参加。
僕たちAiCutyが活躍するゲームがどんどん生まれるツールをたった1時間で開発していたようだよ!
https://note.com/o_ob/n/n9fb3cebe9ce3
会議室も開発室に!
フレッシュなおやつも!
スポンサー、Supercell & Google Deepmindありがとう!
公開された審査員たち
会議室での1チーム3分の英語ピッチ審査が終わった後、最終審査6チームが発表される。
本当に最後の最後まで、告知されていなかったので「今用意しました!」という産地直送状態でピッチすることになった。
お題大喜利でAI同士が代理バトル!
コンセプト:AIを育てる大喜利バトルゲーム
概要: ユーザーが自分で大喜利に答えるのではなく、自分の「AIエージェント」を教育し、他人のエージェントと戦わせる。
特徴: 「シュール系」「爆発系(ハリウッドザコシショウ風)」「うまいこと言う系(バカリズム風)」など、AIの性格を選択可能。ユーザー自身が大喜利に回答することで、AIに自分の感性やボケの傾向を学習(修行)させる。
バトルでは、AI同士が対戦し、松本人志氏などの著名人を模したAI審査員が評価を行う。
技術: システムプロンプトへの特徴量注入、画像生成モデル(Nano Banana)による回答の可視化。
AIを通して他人と戦う。審査員自体もいろんなAIをつくってあり、繰り返せば繰り返すほど上がっていける設計になっている。
特徴: 「くらえ!」「インフェルノ!」といった掛け声によってスキルが発動。感情分析やBGM生成を使用し、戦況に合わせて音楽が変化する。声優のような感情豊かな発声がより高い評価(攻撃力)につながる仕組みを目指している。
コンセプト:画像生成プロンプトを学ぶ対戦型ゲーム
概要: Geminiが生成した「お題画像」を見て、どのようなプロンプト(指示文)で描かれたかを推測し、その一致度を競う。
特徴: ユーザーが入力したプロンプトで実際に画像を生成し、お題との類似度をAIが採点。結果画面では「何が足りなかったか」をGeminiがアドバイスしてくれるため、楽しみながらプロンプトエンジニアリングを学べる。
現在は特定のキーワード(テーマや舞台)を組み合わせてお題を生成。
コンセプト:AIがクラフト台になる、制限のないサンドボックスゲーム
概要: Minecraftのように決められたレシピに従うのではなく、手持ちの資材から「想像力次第で何でも作れる」世界。
特徴:「花の茎と棒で原始的な銃を作る」といった、従来なら不可能な組み合わせをAI(Gemini & Nano Banana)が解釈してアイテムを生成。
プレイヤーのレベルやリクエストに応じて、敵(Mob)もランダムに進化・武装する。ゲームバランスを崩す極端なリクエストはAIが感知して制限をかける仕組み。
コンセプト:「Eat! Construct! Destroy!」
食べ物の写真をロボットに変形させて戦う
概要: 自分のスマホにある食べ物の写真をアップロードすると、AIがその特徴を捉えた3Dロボットを生成する。
特徴: 例:生肉の画像からは肉感のあるロボット、ローストビーフからは攻撃力の高いロボットが誕生。
技術パイプライン: Nano Bananaでロボットの画像を生成し、その後「Meshy AI」等で3Dモデリング、リギング、アニメーション化まで自動で行う。生成に時間がかかる点(約10分)を、「ロボットの建造時間」として演出(艦これの造船のような待ち時間)に変えるアイデア。
コンセプト:外国人学習者向けの漢字学習バトルアプリ
SwiftUIによるネイティブ実装(開発者は元デザイナーで独学1年)。最新のGeminiの音楽生成機能を用いた、レベル(難易度)に応じたBGM変化の実装。
審査員との熱い質疑応答のやりとりは是非YouTubeで!
https://www.youtube.com/watch?v=YBA9t-JiNf4
審査員のシェイン・グウさん(@shanegJP)と優勝者のzukkyさん (@zukky_rikugame)
SUPERCELL ジェリー・チーと名刺交換
AIは魔法じゃない。今回のハッカソンで生まれた新しい「種」が、これからどんな風に芽吹いていくのか、当たり前じゃない体験を作り出せる人々、AI開発者の春は確実にきている。明らかに新しい時代の幕開けが始まっている。優勝者の zukkyさん (@zukky_rikugame) は音楽関係の開発者。ボクも音楽と開発技術のフィールドから、しっかりと見届けていきたいと思う。
参加したハッカーの皆さん、本当にお疲れ様でした。
この記事が面白かったら、ボクの楽曲もぜひ聴いてみてね。
https://open.spotify.com/artist/0E32Zsb9Vfbsldbyo8IaEb
そろそろ、ボクの新曲「PicoPico Shooting Game!」を使ったコンテストが告知される…ハズ!
Originally published at note.com/aicu on Feb 21, 2026.