【AICUはるフェス2026 Day1 セッションレポート②】「それ、何なんですか?」——AI漫画の基礎知識をプロ漫画家が聞いてみた

【AICUはるフェス2026 Day1 セッションレポート②】「それ、何なんですか?」——AI漫画の基礎知識をプロ漫画家が聞いてみた

AICUはるフェス2026 Day1セッションレポート
現役プロ漫画家・ハッシー橋本が訊く!! 生成AI漫画ってどうなのよ?」

AICU media ライターのEMKOがお送りします。

https://www.aicu.jp/post/260225 

 https://www.aicu.jp/post/260317 

 

「それ、何なんですか?」——プロ漫画家の素朴な疑問

Crypto Lounge GOXの会場に、AICUはるフェスのモニターが並ぶ中でトークが行われました。AI漫画の制作現場を知らない現役プロ漫画家・ハッシー橋本さん(X@hassytoushi)の質問は、鋭くも素直でした。

「LoRAって、クリスタで言うと何に当たるんですか?」 「食わせるって、どういうことですか?」 「で、それ実際に何をどう使うんですか?」

セッションのおもしろさは、まさにここにあります。AI漫画制作の技術を「知っている側」と「知らない側」が同じテーブルに着くことで、曖昧だった言葉が次々と具体的に解像されていきました。


LoRAとは何か——「ブラシ」に近い存在

AICUで「YOUKAI」を連載する殻尾さん(X@KARA_Beee)は画像生成AIの中で、「LoRA(ローラ)」と呼ばれる追加学習ファイルを多用しています。

殻尾さん:
「クリスタのブラシみたいなものです。有名な絵師が作ったブラシ、みたいな感じで、誰かが作ったLoRAをSNSで共有しているサイトがあって、それを使うとフォーカスが合っていくイメージです」

https://civitai.com/models

たとえば「ちびキャラを出したい」と思ったとき、ちびキャラ向けに学習されたLoRAを使うと、何をやってもちびキャラ風の画像が生成されるようになります。その種類は無数にあり、商用利用の可否もLoRAごとに作者が設定しています。

さらに「自分の画風を学習させてLoRAを作る」ことも可能です。これが、AI漫画ならではのカスタマイズ力の核心です。

LoRAについてもっと詳しく:
ComfyUIでつくる! LoRAで切り拓く!AI時代のキャラクター運用とコトづくり|AICU
LoRAで表現をもっと自由に|AICU
VRoid Studio を使ってキャラクター LoRA を作ろう!|AICU


モブキャラ問題——プロがもっとも「書きたくないもの」

この話題に、ハッシー橋本さんがすかさず反応しました。

ハッシー橋本さん:「モブ、一番書きたくないですよね」

商業漫画の現場では、背景に登場するモブキャラクター(名前もセリフもない通行人・村人など)の作画は、アシスタントが担当することが多いです。しかしアシスタントごとに作画の個性(癖)が出てしまい、統一感を保つのが難しいという課題があります。殻尾さんによれば、これはAIが得意とする領域のひとつです。

殻尾さん:
「メインキャラクターの画風を学習させたLoRAを使えば、モブキャラを効率的に生成できます。ヒーローもの・ファンタジーものの村人とか、服を考えるのが面倒くさい場面に使える。1枚の画像から目の動きだけ変えれば良い状態にできれば、5〜15分で終わる作業になる。モブキャラの作画は、AI漫画のもっとも実用的な活用例のひとつといえます。」

殻尾さんによる「YOUKAI」モブキャラ例
殻尾さんによる「YOUKAI」モブキャラ例

ハッシー橋本さん:
「AIなら量産できると思ってたんですけど、そういう話ではないんですね」

ハッシー橋本さんは驚きを見せました。量産ではなく、人間がやりたくない作業をピンポイントで任せる。それがAI漫画の現実的な使い方です。

AI漫画の表現力と限界について議論する登壇者たち

一方で、AIが苦手な領域もあります。殻尾さんが挙げたのが「目」の表現です。漫画では驚きや衝撃を伝えるために目が飛び出るような誇張表現、いわゆる「ポップアイ(pop eye)」を使いますが、こうした漫画的な感情表現をプロンプトで指示するのが非常に難しい。AIは写実的な描写は得意でも、漫画ならではの「嘘」の表現を狙って出すには、試行錯誤が必要になります。
つまり、きちんと表現したいところは手書きが必要です。キャラクターの感情や決めのシーンなど、作品の核心を担う部分はAI任せにできない。AIで効率化できる部分と、人間の手で描くべき部分の見極めが、AI漫画の質を左右するということです。


写真トレースからAIトレースへ——白黒とカラーの壁

漫画家は昔から写真を資料として使っています。しらいはかせ(X@o_ob)が切り出します。

しらいはかせ:
「漫画家って、もともと写真をトレースして使ってますよね。背景も人物も、写真を撮ってそこから線を起こすのは普通の作業です」

ハッシー橋本さん:
「写真を参考にするのは当たり前」
とうなずきます。

既存の画像を参考にして作画に活かすという行為自体は、漫画制作の伝統的な手法です。AIが生成した画像をトレースの下敷きにする使い方は、その延長線上にあるといえます。しかし、AIをトレース素材に使ううえで独自の壁もあります。しらいはかせがハッシー橋本さんに問いかけました。

しらいはかせ:
「漫画はカラーで見たいですか? それともモノクロ派? 縦型漫画(Webtoon)はカラーが主流ですが、『YOUKAI』はあえてモノクロで制作しています」

殻尾さん:
「生成AIの画像って基本的にカラーで出力されます。でもYOUKAIはあえて白黒なんですよ」

「YOUKAI」(11)『セイトカイ』より
 
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この記事の続きはこちら https://www.aicu.jp/post/260319
Originally published at note.com/aicu on Mar 19, 2026.
 

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