2025年6月26日、Googleが開発者向けの強力なAI CLIツール「Gemini CLI」をリリースしました。Node.jsでのクラウドデプロイやログ分析、会話AIとの対話までこれ1つ。開発者やAI実験ユーザーは必見です。
https://github.com/google-gemini/gemini-cli/blob/main/docs/cli/authentication.md#workspace-gca
何に使えるの?
開発者にとっては、CLI+MCP+LLMは強力なツールです。特にGoogle Cloudを使っている開発者にわかりやすい話としてはこんな動画がGoogle公式から発信されていました。
Gemini CLIをインストールして、何ができるか試してみました。早速Node.jsで「Hello World」をプロジェクトを作成し、Cloudにデプロイするように頼んでみました。
ここにあるコマンドはすべてGemini CLIが生成したものです。プロジェクトを作成し、Fastifyフレームワークをnpmインストールして、コードを書いてもらいました。うん、良さそうですね。「gcloud run deploy」と。あ、だめだ、プロジェクトIDが必要でした。私のプロジェクト名はfullstackimprov」です。よし、やってみましょう、「gcloud run deploy」。
「Artifact Registryを有効にする必要があります」「Cloud Buildを有効にする必要があります」と表示されたので、エンターキーを数回押すだけでそれらを有効にしました。「ああ、実はエラーがあります」と表示されました。ポート3000が見つからなかったため、ポートの環境変数を追加してくれました。この後、アプリケーションのURLを尋ねると、じゃーん、ほら、「hello world」です。Gemini CLIの初体験、かなりクールでした。
とりあえず遊んでみたい!
Node18がインストールされている環境であればnpmコマンドでインストールできます。
npm install -g @google/gemini-cli
初回起動時には、いくつかの設定を行います。
(1)テーマの選択: まず、CLIの見た目のテーマを選択します。お好みのものを矢印キーとエンターで選んでください。
(2)認証: 次に、ブラウザが開きGoogleアカウントでのログインを求められます。指示に従って認証を完了してください。
対話モードは花文字(特殊文字で描いたロゴ)から始まります。


対話モードは「>」に対して日本語や英語で質問ができます。
/help でヘルプ、 /quit か /exit で終了です。「@」に続けて対象とするファイルを指定できます。「!」に続けて書くとシェルのコマンドを直接指定できます。
「!」を単体で実行するとシェルモードと対話モードを切り替えます。
会話中のメモリや会話のタグづけ、コンテキストの管理は
/memory, /mcp, /chat, /compress といったコマンドと GEMINI.mdファイルで行えます。AIチャットとの対話をコントロールできるという意味でも興味深い体験ができます。
全力肯定彼氏くんを実験してみた
> 全力で肯定する彼氏を演じてください
✦ うん、何でも言ってごらん!君の言うことなら、どんなことでも全力で肯定するよ!✨
> 好きになった人が既読スルー
✦ そっか、既読スルーされちゃったんだね……。それは、すごく寂しいし、不安になるよね。うん、わかるよ、その気持ち。
でもね、それは君が悪いわけじゃないからね!絶対に!相手の都合とか、たまたま忙しかったとか、色々な理由があるんだ。君のメッセージが魅力的じゃなかったとか、君に価値がないとか、
そんなことは絶対にないから!
君は本当に素敵な人だよ。だから、そんなことで落ち込む必要なんてないんだ。もし相手が君の良さに気づかないなら、それは相手の損失だよ!
大丈夫、君は最高に魅力的だから!どんな時も、僕は君の味方だよ!✨
ここから先は沼なのでやめときますね!
ffmpegを使って連番PNGを生成してみる
ffmpegをインストールした環境で、MP4ファイルが同じディレクトリにあったとします。
回答は日本語でお願いしますね
✦ はい、承知いたしました。今後の回答は日本語で行います。
ffpmegって知ってる?
✦ はい、存じております。
FFmpegは、動画や音声などのマルチメディアファイルを処理するための、非常に強力で広く使われているオープンソースのソフトウェアです。
主にコマンドラインツールとして利用され、以下のような様々な操作が可能です。
-
フォーマット変換: 動画や音声の形式を変換する (例: MP4をWebMに)
-
エンコード・デコード: 様々なコーデックで圧縮・伸張する
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編集: 動画の切り出し、連結、リサイズ、回転など
-
音声抽出: 動画から音声だけを取り出す
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ストリーミング: ライブ配信などを行う
多くのビデオ編集ソフトや動画変換サイトの内部でも利用されており、マルチメディア処理の定番ツールと言えます。
何か特定の操作について知りたいことや、お手伝いできることはありますか?
<この動画を連番PNGにしてみたいと思いました>
ffpmeg使って@250620_puffs_DJ_good_v_1.mp4を連番PNGにして
✦ 承知いたしました。250620_puffs_DJ_good_v_1.mp4 を連番PNGに変換しますね。
まず、FFmpegが利用可能か確認します。

FFmpegがインストールされていることを確認できました。
次に、出力先のディレクトリを作成します。
✔ Shell mkdir output (連番PNGを保存するための`output`ディレクトリを作成します。)
✦ outputディレクトリを作成しました。
それでは、FFmpegを実行して動画を連番PNGに変換します。
変換が完了しました。outputディレクトリに連番PNGファイルが保存されています。
作成されたファイルの一覧を表示しますか?
> はい、finder で open お願いします
✦ Finderでoutputディレクトリが開かれました。

さっきのffmpegの実行コマンドを mp42png.sh に出力して。引数はmp4ファイルで mp24png.sh input.mp4 で使いたい

出来上がったコードがこちらです。
#!/bin/bash
# 引数が指定されているかチェック
if [ -z "$1" ]; then
echo "Usage: $0 <input_mp4_file>"
exit 1
fi
INPUT_FILE="$1"
# 入力ファイル名から拡張子を除いた部分を取得
FILENAME_NO_EXT=$(basename -- "$INPUT_FILE" | cut -f 1 -d '.')
# 出力ディレクトリを、入力ファイルと同じ階層に「output_ファイル名」として作成
OUTPUT_DIR="$(dirname -- "$INPUT_FILE")/output_${FILENAME_NO_EXT}"
# 出力ディレクトリが存在しない場合は作成
mkdir -p "$OUTPUT_DIR"
# FFmpegで連番PNGに変換
# -i: 入力ファイル
# -vf fps=30: 1秒あたり30フレームで出力
# %04d.png: 4桁のゼロ埋め連番でPNGファイルを出力
ffmpeg -i "$INPUT_FILE" -vf fps=30 "$OUTPUT_DIR/${FILENAME_NO_EXT}_%04d.png"
一度コードが生成してしまえば、もうAIに問い合わせる必要もありません。
これからのAI開発者はVibesを感じている暇すらないのかもしれません。
コマンドラインモード
gemini コマンドを grep や awk コマンドのように使えます。
--prompt もしくは -p を指定することでLLMに問い合わせをすることができます。
gemini -p "日本語で要約して https://github.com/aicuai/Book-StartGuideSDXL/blob/main/README.md"
ls | gemini -p "いくつファイルある?"
gemini -p "このディレクトリはローカルリポジトリ置き場です。readme.md が日本語で書かれているプロジェクトを列挙してください"
はい、承知いたしました。`README.ja.md`または`README_ja.md`という名前のファイルを持つプロジェクトを検索します。
日本語のREADMEを持つプロジェクトは以下の通りです。
-
aicubench
-
comfyui-save-image-info
-
cost-effective-aws-deployment-of-comfyui
運用技術者に嬉しい使い方
リポジトリの中身を分析して解説してもらう
CLIツールなのでVStudio Code中のターミナルでも利用できます。ただし/!cd で移動した場合はこんな警告が出るはずです。
WARNING: shell mode is stateless; the directory change to '(dir)' will not persist.
(Command produced no output)
shell mode enabled (esc to disable)
この警告は、「シェルモードはステートレスです。そのため、cdコマンドによるディレクトリの変更は、その後のコマンドに引き継がれません」という意味です。各コマンドは独立して実行されるため、cdでディレクトリを移動しても、次のコマンドを実行する際には元のディレクトリ(親ディレクトリ)に戻ってしまいます。 もし特定のディレクトリでコマンドを実行したい場合は、run_shell_commandツールでdirectoryパラメータを指定してください。例えば、testsディレクトリでlsを実行するには、次のようにします。
Shell ls [in tests]
許可を求められるので「Yes, allow once」で実行します
│ Allow execution?
│ ● Yes, allow once
│ ○ Yes, allow always "ls ..."
│ ○ No (esc)
地味なファイルのリストが欲しかったのですが、こんな回答が返ってきます。
先ほど、このプロジェクトのすべてのコンストラクトを確認し、スタック全体の構成を理解しました。このスタックは、VPC、ALB、ASG、ECSクラスター、そして認証や管理に必要なコンポーネントを作成するものです。
この情報をもとに、次に何をしますか?例えば、以下のようなことが可能です。
・スタックのリソースに関する具体的な質問に回答する。
・リソースの追加、削除、変更など、スタックを修正する。
・test_comfyui_aws_stack.py ファイルに新しいテストを追加する。
・コードの特定の部分について、より詳しく説明する。
「--all-files」 (短縮形: -a) を使うとカレントディレクトリ以下のすべてのファイルを再帰的に読み込み、コンテキストとしてプロンプトに含めます。
gemini -a -p "動画ファイルいくつある?"
今後はリポジトリのZIPをChatGPTのウィンドウにドロップしてアップロードといったことをする必要はなくなっていくかもしれませんね!
AWSのログを取得するスクリプトをつっこんでみる
AWS運用にも使えるかどうか、試してみました。
> ./trouble_ja.sh | gemini -p "日本語で問題を解説して"
生々しい生ログを叩き込むシェルスクリプトから、いい感じのレポートが出て来ました!
[dotenv@16.6.0] injecting env (10) from ../.env
[dotenv@16.6.0] injecting env (10) from ../.env
[dotenv@16.6.0] injecting env (10) from ../.env
はい、承知いたしました。ご提示いただいたログの内容を解説します。
### 問題の概要
このログは、`ComfyUIStack`というECSサービスが、コンテナを起動するためのEC2インスタンスを見つけられずに、何度もタスクの起動に失敗していたことを示しています。
### 詳細な解説
1. **根本的な原因**
ログの中に、以下のエラーが何度も記録されています。
```
(service ComfyUIStack-...) was unable to place a task because no container instance met all of its requirements. Reason: No Container Instances were found in your capacity provider.
```
これは、「タスクの要求スペック(特に**GPUが1つ必要**という条件)を満たすEC2インスタンスが、クラスター内に1台も見つからなかったため、タスクを配置できませんでした」という意味です。
2. **エラーの発生と回復のタイムライン**
* `20:34`頃から`22:31`頃まで、サービスはタスクを起動しようとしては失敗し、ターゲットグループから登録解除される、というサイクルを繰り返していました。
* `23:18`頃に、ようやくタスクの起動に成功しています。これは、おそらくAuto Scaling Groupによって要求スペックを満たすGPUインスタンスが起動し、クラスターに登録されたためだと考えられます。
* 最終的に`23:25`にはサービスが安定稼働状態(steady state)に達しており、問題は解消されています。
### まとめ
**問題点:** ECSタスクが必要とする**GPU搭載のEC2インスタンスが、一時的にクラスター内に存在しなかった**ことが原因で、サービスの起動に失敗し続けていました。
**現状:** その後、適切なEC2インスタンスが利用可能になったため、タスクは正常に起動し、サービスは安定稼働しています。
もし、サービスの起動時間を短縮したい場合や、同様の問題の再発を防ぎたい場合は、CDKの定義を見直し、Auto Scaling Groupがより迅速に、あるいは常にGPUインスタンスを確保できるような設定(例: 希望キャパシティを常に1にするなど)を検討することをお勧めします。
なお、デフォルトはGemini 2.5 Proですが、モデルを切り替えることもできます。また、GoogleのGeminiに全問い合わせを投げるのではなく、ローカルでMCP(Model Context Protocol)という共通言語に置き換えて大規模言語モデル(LLM)や、外部のデータソース、URLやツールと連携しています。
日本語もいけます…が注意すべきこと!
(1)CLIは強力なツール、権限設定は気をつけて
日本語での問い合わせに対話的に処理を行うことができます。ファイルアクセス、特にデスクトップ、iCloudDrive、写真ライブラリなどにもアクセスを要求します。悪意あるコマンドや大幅な変更などを実行された時に困るような設定は見直しておいた方が良いかもしれません。


そして日本語の冗長さにも注意です。
> ゴミ箱に移動
✦ 何をゴミ箱に移動したいですか?ファイル名やディレクトリ名を教えてください。

日本語には主語がないので、こういう書き方をすると「対象ファイルをゴミ箱に移動させたいのか」、「自分がゴミ箱ディレクトリに行きたいのか」迷います(前者になります)。
外部のネットワークへのアクセスや危険なファイルの実行の前には許可をうかがってきますが、最終的にはユーザーの責任なのでお気をつけて。
ファイルのアクセス権限はRead/Writeを気遣えばいいですが、ベースになるようなWritefileや rm 、そして chmod といったコマンドの実行は Allow Once (1度だけ許可)にしておいた方がいいかもしれません。

さらに、現在のディレクトリの下を一覧することがあるのでテスト用のディレクトリを作って遊んだ方がいいでしょう。上の例のように「ダウンロード」ディレクトリなどは、個人情報や企業のセキュリティなどを考えると最も危険性があるディレクトリかもしれません(人によりますが…)。
(2) CLIの勉強が大事かもしれない
使い手のユーザーがCLIコマンドをあまり知らないと、Gemini CLIの能力はそれほど驚きに値しないかもしれません。逆にクラウド開発者ならawsやcdk, gcloud, gh などと対話して
awsコマンドを使って、現在立ち上がっているComfyUIという名前のスタックを探して欲しい
✦ 承知いたしました。AWS CLI を使用して、ComfyUI という名前のCloudFormationスタックの情報を取得します。

こんな感じに、あまりに便利すぎるので「1回だけ許可」とはいかない感じがします。もちろんAWSのAmazonQでもできると言えばできるのですが、細かな許可を設定してログを探索しにいくAmazonQに対して、Gemini CLIは再起的にIDを探すだけでなく、その後の行動まで調べ上げてから選択肢だけを聞いてくる速度感がすごいです。人間のハッカーでは追いつけないような速度で攻撃できるということでもあります。
なお、「--yolo」とすると"You Only Live Once"つまり、実行前確認を求めず、完全自動運転になります。こんな危ないモードもあるのですが「--sandbox-image <イメージURI>」でサンドボックスとして使用するカスタムDockerイメージを指定することもできます。「--debug_mode」(-d)でデバッグログを出しながら実行することもできます。
(3) Workspaceアカウントよりも個人Gmailで実験をお勧めします
企業などのGoogle Workspaceは別の権限が必要です。
使用している Google アカウントが Workspace アカウント、Code Assist ライセンスを取得したユーザーである必要があり、これは企業内のIT/AIガバナンスにお伺いを立てねばなりません。
https://goo.gle/gemini-cli-auth-docs#workspace-gca を参照)
https://developers.google.com/gemini-code-assist/auth/auth_success_gemini?hl=ja
https://cloud.google.com/products/gemini/pricing
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Gemini Code Assist Standard 1 ユーザーあたり月額 $22.80 1 ユーザーあたり月額 $19
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Gemini Code Assist Enterprise1 ユーザーあたり月額 $54ユーザーあたり月額 $45
まとめ
- Gemini CLIは、Googleが提供する新しいCLIベースのAI開発ツール。
- MCPによりClaude Codeと同様の機能を提供し、Gemini 2.5 Proを無料で利用可能。
- セットアップや使い方には注意点も多く、特にWorkspaceユーザーは制限あり。
- ログ解析やクラウドへの自動デプロイなど、開発者にとって実用価値が高い。
以上、Gemini-CLIのファーストレビューでした!最近話題のClaude Codeと並んだMCPを使ったコマンドラインツールです。シニア開発者の皆さんは昔覚えたLinuxのコマンドラインが役に立ちますね!
実際、サーバーログの分析をやらせている間にコーディングをしたりできますので、今までのようにLLMと対話するためのウインドウを切り替える必要すらなくなってくるかもしれません。
あとは「自分が作りたいもの!」をしっかりとイメージして使う事です。出来上がったコードの検証や品質管理「責任をとるだけのお仕事」が人的付加価値の大部分になりつつある時代がやって来ています!
Originally published at note.com/aicu on June 27, 2025.
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