予算5ドルでハリウッドを超えろ! 「総制作費ワンコイン映画祭」主催者ノミネート作品作品講評

予算5ドルでハリウッドを超えろ! 「総制作費ワンコイン映画祭」主催者ノミネート作品作品講評

「ハイクオリティな映像を作ることだけが、AIの未来なのか?」そんな一つのアイデアから始まった、X(旧Twitter)発のユーザー参加型企画『#総制作費ワンコイン映画祭』。 
ルールはたった一つ。 「予算500円で大作映画をAIで再現せよ!」
蓋を開けてみれば、投稿数はまさかの300本オーバー! 最先端の生成AI技術を、あえて「安っぽさ」のために無駄遣いするクリエイターたちが大集結しました。
今回は、その狂気と熱意が詰まった投稿作品の中から、主催者・来夢ライトが厳選したノミネート作品を一挙にご紹介! 「チープ」「アイデア」「コメディ」の3部門から、あなたの腹筋と感性を刺激します。応募総数300本を超える作品を見た来夢ライト氏の講評も楽しみです。(選出・文:来夢ライト)

予算5ドルでハリウッドを超えろ! 「総制作費ワンコイン映画祭」主催者ノミネート作品作品講評
全ての動画を審査した来夢ライト氏(@Limewritelight)

予算内で映画をいかに安っぽく、かつ愛らしく表現したか。「チープであること」が逆に作品のリアリティや味わいを深めている名作たちです。

『Ko-Min-Kan 予算5ドルのデスゲーム』 赤獅子屋(@akajishiya)<オリジナル作品> 

 

 

 

コメント: 実際に撮影された低予算自主制作映画のような「抜け感」のある演出とテンポ感が、まさしくこの部門に相応しい一作。Sora2のカメオ機能を最大限に活用し、実在しないはずの「素人キャスト」があたかもそこで演じているような不思議な実存感を生み出しています。赤獅子屋さんのXアカウントでは、彼らがキャストとして映画の宣伝を行っているという「メタ構造」も展開。虚構と現実が入り混じる、ワンコインならではの怪作です。

『HORROR FOREVER』 江洲西 信条(@esunishi_shinjo)<オリジナル作品> 

※NSFW作品のため埋め込み不可
https://x.com/esunishi_shinjo/status/1999636414003315085

コメント: 今回の映画祭で最長となる5分間の大作であり、ホラーというジャンルに真っ向から挑んだ意欲作。「ホラー×チープ」は笑いに転びがちですが、本作は真逆のアプローチ。独自のストーリーテリングで恐怖を描ききっています。ツイストの効いた脚本、散りばめられたホラー映画へのオマージュからは、江洲西さんの底知れぬ「映画愛」が伝わってきます。長尺を飽きさせない構成力はお見事!

『インディジョーンズ・ワンコイン魔宮の安伝説』 橋村政海@おかしなアート(@hashimura55) 

<元ネタ:インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説> 

 

コメント: 橋村さんはなんと本映画祭に25本以上の動画を投稿!その圧倒的な熱量で祭りを牽引してくれました。中でも本作の再現度(の低さと高さの絶妙なバランス)はピカイチ。誰もが知る名シーンを見た瞬間、元ネタとのギャップに思わず吹き出してしまうはず。この「チープでゆるい空気感」は、一度見るとクセになる中毒性があります。


■ アイデア部門:その手があったか!斜め上の発想

単なる再現ではなく、「自分には全く思い付かない!」と唸らされた、アイデアとトンチで勝負した作品たちです。

『進撃の赤さん』 さとしき(@satoshiki5)<元ネタ:進撃の巨人> 

 

コメント: 巨人をあえて「赤ちゃん」という小さな暴君として描く、逆転の発想に脱帽!お父さんが操演を行う特撮風のカットや、赤ちゃんが泣くのをアルミンの人形が必死に助けにいく展開など、とにかくディテールが秀逸です。単なるパロディに留まらず、ストーリー展開の巧みさと「そう来たか!」という驚きが詰まった一本。

『影絵のスパルタの兵士たち』 FANTAN GLITCHBOX(@fantanglitchbox)<元ネタ:300〈スリーハンドレッド〉> 

 

コメント: 「ワンコインでカッコ良い動画は作れるのか?」という難題に対し、「影絵(シルエット)」という答えを提示したスタイリッシュな作品!切り絵のようなビジュアルにすることで、予算を抑えつつもアートとして成立させています。FANTANさんは他にも「七人の侍」や「シンドラーのリスト」などを影絵で再現しており、その表現の幅広さは必見です。

『こくはく』 Neve(@Neve_AI)<元ネタ:スター・ウォーズ/帝国の逆襲> 

https://x.com/Neve_AI/status/2001304569134141938

 

コメント: 「どんな名作も猫が演じれば全て許される!?」そんな人類の真理を突いた作品。アイデア一つで無限に作れる上に、猫が可愛いから無限に見れてしまうという永久機関が完成しています。「プロンプトの言うことを聞かなくても、猫だから仕方ない」と許容してしまうNeveさんの制作スタンスも含め、天才的な可愛さでした。


■ コメディ部門:理屈抜きに笑える!

説明不要、単純に一番笑える動画が勝つ! AIの予測不能な動きが生み出す奇跡のユーモアをご堪能あれ。

『沈没しない「タイタニック」』 KEETY(@KEETY2591756)<元ネタ:タイタニック> 

 

コメント: 今回の映画祭で最も多くモチーフに選ばれた不動の名作『タイタニック』。数ある競合の中でKEETYさんが選んだのは、「そもそも沖に出ない」という根本を覆すコストカット!メインのカップルよりも、背景でいい味を出している「気になるおじいさん」の表情など、見れば見るほど笑いが込み上げるスルメ動画です。

『千と千尋の紙隠し』 AIたまごちゃん(@TamagoAI1031)<元ネタ:千と千尋の神隠し> 

 

コメント: 壮大な湯屋が、まさかの自宅サイズの「バスタブ」に!狭苦しい画面に特徴的なキャラクターがすし詰めになる様子は、まさに「密」。ダンボールセットと湯屋の相性の悪さや、子役の演技の妙なリアルさがシュールな笑いを誘います。ハクの独特な横スライド移動と、「神隠し」ならぬ「紙隠し(ダンボール)」というタイトルセンスも座布団一枚!

『THE SUPERMARKET BAG BOXER』 Tkool(@by2lGwfvhOkrAV2)<オリジナル作品> 

 

コメント: 身近な“スーパーの袋”を武器に戦う、異色のボクシング映画。コーチの叱咤激励やヒロインからのキーアイテム受け渡しなど、「ボクシング映画あるある」を真剣に積み重ねれば積み重ねるほど、アイテムのショボさが際立って笑えてくる!「コメディはシリアスにやるほど面白い」を体現した、腹筋崩壊必至の作品です。


■ 300本を超える作品を見た来夢ライト氏の講評:動画の未来は「ハイクオリティ」だけじゃない。

300本を超える作品を見て確信したことがあります。それは、「制限こそがクリエイティビティの母である」ということです。
「予算がない」からこそ、知恵を絞る。AIの破綻もあえて演出として取り入れる。そうして生まれたワンコインの映画たちは、ハイクオリティなAI動画と違って、とてもチープで、どこか人間味があり、私たちの心を掴んで離しませんでした。

この「総制作費ワンコイン映画祭」は、AI動画の新しい楽しみ方を提示する実験であり、すべてのクリエイターへの応援歌でもあります。 今回紹介した作品以外にも、Xのハッシュタグ #総制作費ワンコイン映画祭 には、まだまだ埋もれた名作(迷作)が眠っています。ぜひ、あなたのお気に入りの一本を探してみてください。

そして、いよいよ決着の時が迫っています。 クリスマスイブである12月24日、この狂乱の宴の頂点を決める「ワンコイン大賞」および「AICU賞」を正式に発表します! 聖なる夜に、世界で最も低予算で、最も愛された作品が決定する瞬間を、どうぞお見逃しなく。

最後に、このバカバカしくも最高に熱い祭りに参加してくれたすべての「監督」たちに、心からの拍手と、最大級のリスペクトを!

「予算はカットしても、カットへの情熱を忘れずに!」

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https://j.aicu.ai/1coinAward

 

Originally published at note.com/aicu on Dec 18, 2025.

 

AICU Japan

AICU Inc. AIDX Lab - Koto

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