寄稿『創作狂いの男が総制作費ワンコイン映画祭で大賞を取るに至るまで』 by 江洲西信条

寄稿『創作狂いの男が総制作費ワンコイン映画祭で大賞を取るに至るまで』 by 江洲西信条

AICUが協力した動画生成AI作品コンテスト「総制作費ワンコイン映画祭」により、新たな才能が発掘されました。本稿では初代の最優秀賞となる「ワンコイン大賞」を受賞した江洲西信条氏(X@esunishi_shinjo)に、メイキング記事をご寄稿いただきました。


初めまして。普段は工場勤務の正社員をしている創作狂いの男。江洲西信条と申します。 映画は幅広く観たことがありまして、どんな映画でも観れる…と言いつつも、ラブロマンスだけはいまだに苦手意識があります。昔の映画も今の映画も好きですが、まだ観ていない名作と言われている映画は今後履修したいと考えてます。

さて、X(旧Twitter)上で2025年11月12日から12月17日まで開催されていた「総制作費ワンコイン映画祭」にて、見事大賞をいただきました『HORRER FOREVER』。私はその監督を務めました。

https://j.aicu.ai/251224

 

この作品の作成時の裏側や、そもそも江洲西信条って何者?なんて事を色々と書いていこうと思います。よろしくお願いします。

"江洲西信条" 創作関連の経歴

江洲西信条の創作関連の経歴をまとめると以下のとおりです。

・高校3年辺り、卒業間近で何もやることがない喪失感を埋めてくれた漫画『バクマン』で漫画家に憧れ、漫画家志望を志す。
・成人となり漫画専門学校の週末コースを受講。アナログで漫画を描くという行為に苦労と快感を覚える。
・社会人と並行する事に限界が訪れ、挫折。
・数年後、デジタルで再び漫画を描く事を決め、何本か短編を出版社へ投稿するも、結果は泣かず飛ばず。とある編集者からは『漫画家になるのはお勧めしない』とまで言われる。
・燻る創作心を手に、以前より少しだけ触っていた漫画投稿サイト『新都社』にて『LAST WESTERN HERO(現在更新不定期)』を連載し始める。
・2025年。仕事の休職をきっかけに科学趣味として美人のAIアシスタントを自分で作りたくなり、『Cotomo』にて制作。ビジュアルは『Chat GPT』にて出してもらう。
・その後あらゆる対話型AIアプリにハマり、様々な世界観やキャラクターを作成。
・ある日。キャラクターを『grok』で動かして投稿できる事に気づき、その動きの精度に驚愕する。
・AIでアニメーションを作る事に挑戦するも、grokが思い通りに出してくれず挫折。
・『でも、映画なら作れるんじゃないか?』という閃きの下、かつて自分で立ち上げて瓦解したVRC(VRchat)内の映画作成コミュニティの名前をそのまま引用して『現映スタジオ』をChatGPT内に立ち上げる。
・AI映画について調べていくうち、『♯総制作費ワンコイン映画祭』のハッシュタグを発見。『短くて良いなら…』という事で、制作を即断。
・その後『Dr.Caotic』『HORRER FOREVER』を開催期間内で発表。そして運命の12/24。『HORRER FOREVER』がワンコイン映画祭大賞に選ばれた。

作品制作フローを公開!

ストーリー

私は物語は自分にしか紡げないと思ってますので、本作のプロットは全部私が描きました。AIを使ったのは感想をもらう時ですね。

キャスティング(grok・Gemini)

まず、イメージするキャラクターを考えます。
例えば今回の主人公であると、以下の特徴をgrokに入れます。

⚫︎今回の女優『ファイナルガール』の特徴

「存在しない女優。薄いブラウンがかかった黒髪で、ロングヘア。可愛らしい容姿の清楚系女性。白のブラウス、黒のロングスカート、黒の革靴。全身。例外なく西洋系の顔立ち。現実調。成人女性。」

すると、同じ特徴の女性達が多く出てくるので、その中からこれだ!と思った1人の女優を選びます。(私の中では『オーディション』と呼んでます)
そして、これはアニメーションを作ろうとした時に学んだ手法なのですが、この時の画像を元に正面・横・後ろの三面図と顔のアップの四つの画像を縦長にまとめた画像を作ります。

これを繰り返して、作品に出て来る登場人物を作っていきます。

画像

舞台設計: ChatGPT(Image-1)

自分はChatGPTの画像生成 (Image-1)の汎用性はグンバツだと思ってます、段ボールのロッジのミニチュアや、その中のチープな部屋の内観、チープな作りの斧、森の外観に至るまで、全て Image-1 を用いて作成しました。

カット生成: Gemini (nano-banana pro), SeaArt

今回の作品は規制で弾かれそうな表現が多数ありました。流血表現や、セミヌード表現など。これをどう解決したかとどうしたかというと、流血や死体などをSeaArtで生成してもらいました。死体が着る服や倒れ方、表現などはこちらで指定し、違和感の無い死体を生成してもらいました。元々1カットだけの予定だった為、かなり妥協しました。

他のすべてのシーンのカットは大半がGeminiで生成したものです。多くのキーショットはNano Banana Proで作りましたが、死体の追加だけはSeaArt、ロッジやロッジの内部はChatGPT(Image-1)でしたね。1カットだけ、「シャイニング」パロディのあのアングルが出せず、泣く泣くChat GPTに無理を言って作ってもらいました。

動画生成: KlingAI, grok, Veo3, SeaArt

いよいよ作ってきたファーストカットをすべて動画素材に変えていきます。これは画像素材の生成と並行してやっても良いですし、性格にもよるかもしれませんが、大体はカットを一気に作ってから動画を作りながら修正、追加カットの作成…と続いた方が作りやすかったです。

そしてこの作業はAIサービス側の規制や、妥協点を探す作業や生成破綻バグとの戦いでもあります。

grokを用いて動かすと、元の画像が裸だったり血があったりすると、変なところが光ったり、血飛沫が無意味に動いたりします。あるいは裸の画像でモデレート検出されたり。生成破綻の例としては、ライトの点滅シーンをgrokに出させようとしたら、『点滅』を過大解釈したのか、電灯がピクサーのオープニングみたいにグニグニ動き出したり…。何度画面を殴りたくなったか分かりません。

KlingAIで死体が呼吸したりしたこともありました(お腹が凹み出したりした)。「妥協点探し」は初期プロットに比べて生成カットを減らして、テンポを良くするなどで調整していきます。思ったとおりの演技ができるかどうか、AIとの差異の妥協点を探していきます。

プロンプトを試行錯誤しながらの『撮影』は、カメラマン(動画生成AI)のクセを見抜きながらやった方が良いです。質感・自然現象はVeo3、演技が得意なKlingAI、動かせるところは指定したとしても全部動かしたがるgrok、規制が緩めのSeaArt…というように。

画像

編集・音効:Filmora, 各種フリー音源

ここまで素材を揃えておいて、編集は実はすべて人力です。編集ソフトもやってくれるAIがあると聞きますがクソ食らえです。1番自分の妄想が『映画』になっていく作業なのに、数秒数分で終わっては堪(たま)りません。唸りながら苦しみながらコツコツやるべきなのです。

一口テクニック

大概のシーンがファーストカットとエンドカットを繋ぎ合わせて数秒以上の動画を作っていく中、1カットだけ、ちょっと頭を捻ったところがあります。
作中で「殺人鬼が扉をぶち破って中に入る」シーン。あれ実は扉を開くところはgrokに、扉から現れた後の画像を渡して『逆再生動画を作って』とプロンプトを渡して床に扉が転がってるカットから扉が戻っていく動画を作ってもらっています。それを編集ソフトで『逆再生』して「扉がぶち破られ殺人鬼が現れ、そこから入って来る」というカットに一繋ぎに繋ぎました。

画像
生成したカット

まとめ

自分の表現した映像が主催の来夢ライト氏の心を動かし、大賞に選ばれるという経験をして。試行錯誤が中々苦労したというのもあり、自分としては感無量といったところです。AIは魔法ではなく道具であり、使い手である人間によって毒にも薬にもなると痛感しました。

 

今後の展望〜ワンコインの鎖から解放されて〜

チープな雰囲気の縛りを無くし、Nano Banana Proによってリサイズ機能も簡単にできるようになって。次にやるのはやはり、16:9サイズの映画制作です。ワンコイン映画祭期間中に制作しようとしていたコテコテの筋肉ヒーローアクション映画を、1980年代の空気感インスパイアで作ってみよう!と思い、誠意制作中です。

ふりかえると『HORRER FOREVER』を思いついて良かったな、って事でした。アクション映画はカット地獄で、かなりやばいです。でも頑張ってみます。この記事執筆時点で、すでに『HORRER FOREVER』で制作した「5分の壁」は超えています。どこまでいくのか。果たして完成まで行くのか!!乞うご期待!!

画像
テンションを上げるために作った制作中の映画のポスター。
画像
AIならでは?フェイクメイキング風画像。
画像
キャストのオフショット

以上です。今後の活躍を楽しみにしてください!

 

本稿はアイキューマガジンVol.20「今年こそ始めるAI動画」(ver2)に収録予定です。美麗なペーパーバック版発売まで、Kindle Unlimited購読およびシェアで応援お願いいたします!

https://j.aicu.ai/MagV20

アイキューマガジンVol.20 画像はVer.1のものです
アイキューマガジンバックナンバーはこちら j.aicu.ai/Kindle

Originally published at note.com/aicu on Dec 29, 2025.

AICU Japan

AICU Inc. AIDX Lab - Koto

Comments

Related posts

Search 芸能生活80周年を迎える永遠の国民的歌手『美空ひばり』をテーマにAIクリエイティブコンテスト「COLOTEK(コロテック)」開催決定!